休憩

  風邪をひいた。いつもと調子が違うだけで不自由なものだ。すこし、せきが出るだけでも気になる。普段忘れているが、当たり前のことが前提に生活がなりたっている。
 毎日、仕事に行って帰ってくる。帰れば、妻が料理をして待っている。これが無くなれば、なんと生活はつまらなくなるだろう。子と一緒に食事ができる。このことだけでも楽しいことだ。
 あって当たり前の生活が続いている。このことに満足しよう。
 人が持っていて自分にないものは多い。金銭でも、容姿でも、感性、知性、知識でも、あこがれるものは多い。それでも私が持っているものがある。
 あこがれ、それを目指して努力することは、それ自体は良いことだと思う。しかし、その努力も、今自分が持っているものを前提にしている。今があることが、とても脆いものだということを忘れないことだ。小さな生活に満足して、その小さな生活はバランスの中で成立している。いつ崩れてもおかしくないことに気がつくことだ。
 進歩のある生活もいいが、進歩がなくとも落ち着いた生活もある。