暑さと忘却

  今日は休みをとった。夏になり、なかなかやる気がでない。モチベーションを維持することが難しい。何をするにしろ、はじめはやる気が必要だ。
  この暑さの中で、何気にクリシュナムルティの本が目についたので、一部読み直してみた。
  クリシュナムルティは私が好きな思想家だ。彼の言葉は、素直であり人間の真実をついているが、こうしろというところがない。結局、考えるのは自分でしかないことを諭し、自分が感じることを受け入れることしか言っていないような気がする。
  人間の欲求を見据え、それを克服しろとは言わない。ただ、その欲求を見ろと言う。その欲求を否定するのでなく理解することを言う。欲求を捨てることを望むことも、欲求だと。
  彼は、ただ、自分を見よと。自分の考えが、話す言葉に、世界が詰まっている。世界の歴史や文化が私を構成しているのだと。
  貧乏人を見下す自分がいるとき、世界の構造がその自分の姿に反映されている。
  私達は、世界に囚われているのだと、この囚われに反逆することが、自由だという。人は、確かに世界に条件付けられていると思う。どこからどこまでが、条件づけともはや分けることができないほど世界に規定された存在だ。
その条件付けに気付くことが自由なのだが、結局はどうすればいいのかと訊きたくなるのだが、彼は答えと言うようなものは言わない。ただ、静かに風景を眺めようということを言うだけだ。
  美しい考えなんだが、日々の生活では忘却してしまう。