よろず哲学圧縮君

ケロロ軍曹を知っているだろうか。アニメになった漫画なのだが、その中に便利なグッズで圧縮君というものがある。
圧縮君で何ができるかというと、漫画だろうが、小説だろうが、プラモデルだろうが、何でもこの機械に放り込んでやれば、圧縮されて出てくるのだ。全100ページの小説だろうが、3ページというような具合に圧縮され、それを読めば全く同じ満足感が味わえると言う便利な装置なのだ。

子の倫理の教科書を見たのだが、これがまさに圧縮君で圧縮された状態の本で驚いた。ハイデガーがたったの2ページで分かったかのうような気分になる。世人は頽落した存在であり、死を忘れつつ生きる世界内存在であり、道具的存在を使う存在者が現存在のような調子でまとめてある。
これを読んだ高校生は、どんな理解をするのだろう。高校の教師にしても、ハイデガーを2ページで紹介するのは難しかろうと思う。
その上、その本にはプラトンのような西洋の古典から、徒然草のような日本の古典、その上コーランまで紹介されている。
本のタイトルと作者を教養として知っている必要があるのだろうが、これで本当に知ることができるとも思えない。
これは、読んでいない純文学の小説も同じだが、こちらは読んでいない。知らないで終わるが、高校倫理でならうと、知っているような知らないようなという感じがするのか。

倫理の教科書を足がかりに勉強すれば、面白い発見もあるのだろうと思うが、圧縮君だけで終わってしまうのも高校教育レベルでは仕方が無いのだろう。