何もないこと。

    上の子が就職活動をしている。希望のところに受かればいいが。これから、一人で生きていくことになる。好きなことを仕事に出来ればいいのだが。
  私自身は、仕事は自分が好きなことをしてる訳ではない。毎日、就業時間が早く終わることを考える。これは、不幸なことだと思う。   
    多くの人が、そのことに気がつかずにいる。自分の立場、昇進そういうものに、自分への社会的評価が有ると満足する。自分とそのことを同一視してしまえば、自分の仕事が本当に好きなことかもう疑問に思わない。
    自分はこの歳になって、退屈で辟易した仕事をしている。その上、仕事上の技術と言える物もない。人を勘違いさせる地位、役職もない。蓄えもない。私はこれまで何をしてきたのだろうか。
  自分を見て、何もないと思う。
  子や妻はあるが、それは私の所有物ではない。私が持つ物、何がしか、そういうもので大事なものは何もない。  自分は、ひとかどの人物、人から尊敬されるような何者かに、なりたかったのだろう。そういう願望があるのだろうと思う。一方では、そんなものは実のところ、虚栄心を満足させる他に何もないと思う。
  そのような心が空しいものだと思う。
  自分に何もないことを知ると空しい気持ちがするが、それを受け入れようと思う。人生は、空しいものだと。
  その上で、毎日の繰り返しを、9時から5時まで同じことの繰り返しを、また繰り返していこう。