最近のお気に入り

  最近のお気に入りが、ブルックナー交響曲第3番だ。去年に買って、2回聴いてみたが、旋律が分からず、その後は聴くこともなかったのだが、最近、ふと聴いてみると面白いことが分かって、何度も聴いている。
  この曲は、旋律というよりも、即興性を楽しむかのようなところがある。勿論、即興ではないのだが、当時の人に、不評だったのがよく分かる。初めて聴いて楽しむような曲ではない。ロックを感じるというか、好き勝手な曲を作っているなあというのが、何度も聴いた後の感想だ。ある意味、一番ブルックナーらしいような気がする。この点、講学的にはどうなのかは知らないが。
  ブルックナーの伝記を図書館で借りて読んでみたのだが、少しというか、大分変わった人だったようだ。世間からずれているというか、天然が入っているという表現だろうか。そう考えると、第3番が不人気だったのもよく分かるし、一番ブルックナーらしいというのも、そういう曲なんだと分かる。それ以来、好き勝手な感じのするこの曲がお気に入りになった。
  遠い日本でさえ、後世に人気が出ると知れば喜ぶだろうと思うが、ブラームスほど人気がないと知れば、これも悲しむだろうが。コンサートで取り上げられるのブルックナーよりもブラームスの方が多いように思う。当人が知ることはないのだが。
  もう一つ妄想だが、カラヤン指揮のベルリンフィルの往年の演奏をブルックナー当人が聴けばなんと言うだろうと思う。もっともブルックナーらしくない演奏というか、めちゃくちゃ滑らかに、こんなにきれいな曲だったかと思う演奏をするのだが、これも当人が知ればきっと驚くだろうと思う。
  クラシックを聴きながら、時折、こんな妄想をしているのだが、実際、平気で1950年代、60年代でステレオ録音で再現して、それを今聴いていると思うと不思議な感がある。50年、60年前の演奏なのだが優秀な録音だと、コンサートホールにいるかのような感覚になるのだから。そして録音に際した演奏者は、もう今生きている人はほとんどいないのだから。ちょっとしたタイムスリップの感覚がある。
  そして、年末になると毎年、第九を聴きに行く。これは、ここ数年、変わらないのだが。