めも

  ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」2巻を読んでいるのだが、この人の文章は、センテンスが長くて読みづらい。当時の政治状況、歴史が理解していないと、中々ついていけない。翻訳が古いせいもあって、今はほぼ使わない語彙もかなりの頻度で出てくるので、その度に辞書を引くことにもなる。
  こういうと読む気が失せるのだが、ナチスドイツが成立した背景というものにヨーロッパ全体の状況、ユダヤ人がおかれていた状況が関連している背景にあることが分かるので、何度も読み戻りながら読み進めている。有る程度、言ってる意味がぴんと来ないところもあるが、そこは置いておきとりあえず読む。
  元は、ナチスドイツがなぜ成立したのか。人々の心をつかむことに成功したのか。ドイツ関連の本を読んでいたのだが、この人に行き着いたというところ。単に歴史物だとふむふむと読み進むのだが、政治学の話が入っているので中々読むのが難しい。
  読むのが難しい本をわざわざ読んでいるのだが、読後にパズルが解けた感じ、自分のこれまでなかった考えが、一つ追加される感じというか、作者の感性もいくらか理解できて作者の言いたいことが、自分の知識の中で位置づけられるという感じが楽しめるのが、こういう本の楽しみだ。
  いつこの本の内容を役に立てる時が来るのかということを考えても、たぶんずっと来ないだろう。本を役に立つ立たないで判断することも、一面的で意味もないのだが。そういう意味では、知性の涵養ということでは役に立つのだろう。いつ知性を使っているのかと言われてしまうが。