父と子の対話

 我が家の夕食後の会話より、「ニワトリが先か、卵が先か。」
 
 子曰く
 「卵が先に生まれている。どのニワトリも卵から生まれ、ニワトリの遺伝が決まるのは卵の状態だ。ニワトリという種が生まれた際は、卵の状態で遺伝がきまるから卵が先に生まれている。」
 
 父曰く
 「ニワトリという遺伝情報はある日突然に決まるのではなく、進化の過程でゆっくりと決まる。むしろ、ある特徴を持つ鳥を人がニワトリと呼ぶようになったので、人がニワトリと名づけた状態からニワトリが生まれたのではないか。どの卵もニワトリから生まれたのではないのかなあ。」
 
 子曰く
 「ニワトリが先か、卵が先か。と言っているのは、ニワトリというフォルダが生まれたことを言っているのではなくて、生き物としてのニワトリか卵が生まれたのがどちらか先か尋ねているのでは。生き物としてのニワトリがいるなら、その遺伝の内容がどこかで決まったはず。その瞬間がニワトリの誕生で、それは卵で起きている。
 進化の過程で分岐した他の鳥の子孫はニワトリではないし、進化の過程でニワトリと呼ぶ種が生まれたとするなら、どこかでニワトリが生まれている。問いの内容では、はじめからニワトリと呼ぶ遺伝の内容が決まっていないと、問いが成立しない。問いが正しいなら、卵が先。」
 
 父曰く
 「。。。。。。。。」
 
*フォルダ(カテゴリー、分類のこと。パソコンでのフォルダの使い方がカテゴリーに似ているので、子はフォルダと呼んでいる。)