天気予報とコマーシャル

  何故、日本でイギリスとドイツの天気予報を見なければいけないのだろう。日本在住の英語圏とドイツ語圏の人は、母国が発表する天気予報を見て行動をし、今日は、不要な外出を控えよう、帽子をかぶろう、マスクをしようと。
 ドイツや、イギリスの天気予報で詳細に日本の放射能の拡散の様子を伝える目的はこれしかないように思う。
 日本では、風向きを見て行動するように促すメディアはない。ドイツやイギリスの天気予報が伝える福島からの風で日本全体が放射性物質につつまれる姿は、強いイメージを与える。
 このイメージを日本人は正しく理解できないと、一番の当事者である日本人自身が考えているところが、この理解がおそらく正しいのだろうと思えるところが、日本人である私には皮肉である。
 余計な、心配はしないようにメディアはひたすらに説明を繰り返すが、長期化した場合のこと、直ちに影響はなくとも防ぐことのできる被爆は避けるべきことは、まるで主張しない。
 また、東電の汚染水の海洋投棄について、日本のメディアは冷静に報道をした。以前であれば、ものすごい反応があったはずだが、今は非常時で政権協力体制がひかれているようだ。この行為は世界から見た日本人に対する印象を大きく変えるものがあったと思う。日本人は、自分の身を守るために世界に繋がる海を意図して汚染した。風に乗り放射性物質が世界をつつんだこととは、質的に大きな違いがある。
 もし、中国、北朝鮮、韓国が同じ行為をしたとしたら、日本人は彼らに理解を示すだろうか。原発事故に加えて、この意図的な海洋汚染によって何十年に及ぶか分からない影響を、信頼を日本人は失くしたと思う。
 今、福島第1原発で働いている労働者は、自己を犠牲とする侍の心を持つのだろう。しかし、海洋投棄という東電の行為に、海外が賞賛する侍の心は見えはしない。
 私の暮らしは、海外の日本への信頼が低下しようが、直ちには影響しない。しきい値以下であるので全く安心して良いと言える。
 しかし、私の子は今後この評価のもとに暮らしていくことになる。
 また、被爆の影響は私の余命から考えてもおそらく有効な数値としての影響はないだろう。(確率的影響はあるので、運が悪ければ、私も低確率下での影響で発ガンすることはある。)しかし、私の子は汚染された海や土地の影響の下でこれから暮らしていかなければならない。
 この子たちのために、どれだけ希少に見える数値であっても、余計な被爆は避けるよう考えたい。多くの親がそのように考えることも期待したいが、これも一部の人たちで収まるように思う。
  いただきマウス、ありがとウサギに続くポポポポーンのCMは、安心感、安定感抜群だ。これは日本人が好きな「かわいい」を連発してくるのだから。このCMで日本中の不平不満がどれだけおさまっていることだろう。これを見れば、協力しなければ、こんな時だからこそ不満を口にしないと思ってしまう。
 このCMの影響が、良いほうだけに向かえばいいと思うのだが、多くの人が不平をもらさない人間になることは、政治的にはやりやすいだろうと思えてしまう。
 私にはこのCMの垂れ流しは、どうしても、プロパガンダにしか見えない。
 私は、本来反省すべきところを逃すことになるように思う。